排泄について考える
1. 排泄について
安全でかつ安心のできる排泄援助技術を提供するために、排泄障害者の心理を深く理解し、受け入れ、排泄の意義、仕組み、排泄物の性状、排泄の自立と障害、排泄環境等の知識、排泄用具の種類及び使用方法を正しく身につけておきましょう。
2. 排泄のプロセス
①尿意・便意を感じる → ②トイレに移動する → ③衣類の操作をする → ④排泄姿勢をとる → ⑤排泄する → ⑥後始末(紙で拭く→水で流す→衣類の操作をする)
3. 排泄環境
排泄する場所や排泄用具(・トイレ・ポータブルトイレ・ベッド(ア.尿器・便器、 イ.おむつ)によって本人の受けるストレスは大きく変化します。誰にも気兼ねなく、ゆったりとした気分で、本人に最適な用具で、安楽に排泄できるように環境を整えましょう。
4. 援助を受ける人の気持ち
・他人に頼むのは恥ずかしい ・臭いや音が気になる ・失敗して衣類や寝具を汚すのではないか ・援助者が嫌がってないだろうか ・他人に排泄の姿や排泄物を見られたくない ・援助者が排泄物や排泄方法を非難したり、話題にするのではないか ・手洗いはどうすればよいか ・尿器や便器は清潔だろうか
「下の世話だけは受けたくない」 日本人の排泄に対する考え方から、排泄障害が発生すると、ほとんどの人は程度の差こそあれ自分のすべてがダメになってしまうような恐怖心にかられる。そのため何とか自力で排泄行為をしようとして援助を拒否したり、排泄をしないように飲食物をひかえたり、異常に我慢をする人も少なくない。また排泄の異常を表現しない人もいる。そして「死んだほうがましだ」とか「もうおしまいだ」という言葉を口にする人もいる。
5. 介助の方法
・ポータブルトイレ(洋式トイレ) ・おむつ ・便秘の場合 ア.浣腸 イ.摘便
下剤(便秘治療剤)について
(1) 服用してはいけない場合・・・ア.植物性便秘治療剤 ・急性腹症(急性虫垂炎など)の疑われるとき ・痙攣性便秘(神経過敏の人におこりやすく、下痢と便秘が交互におこることが多く、便は腸壁が痙攣するために兎のフンのように固くなります。) イ.合成便秘治療剤 ・急性腹症(急性虫垂炎など)の疑われるとき ・重症の硬結便のあるとき ・妊婦 ・アレルギ-
(2) 副作用の注意・・・悪心、嘔吐、腹痛、腹鳴など
いづれも連用すると薬に対する慣れが生じて、効果が弱まり、薬に頼りがちになるので長期連用してはいけません。
6. 尿失禁について
正常な排尿とは出したいときに出すことができ、しかも残尿感がないことです。また残尿なく全部出し切ることも大切です。お年寄りの場合、残尿が多くなることがありますが、正常範囲は0から50cc以下です。そして失禁は、膀胱にためて(300cc~500cc)、尿道から出すという、ふたつの正反対の働きをしている非常にデリケ-トな器官の障害やその他が影響しておこります。